小上の漫画紹介ブログ

僕の趣味の1つである漫画をいくつか紹介していくブログです

徹底解説!亜人の面白さに迫る

 どんな状況でも生き返ることができる絶対に死ぬことのない不死身の存在、亜人

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 ある日、平凡な日常を送る医者希望の高校生、永井圭が帰宅途中に起きたトラック事故をキッカケに、自分は亜人であったことを知ってしまう。亜人は貴重な研究対象のため、日本中から追われる身となった永井は一体どうなってしまうのか...?

 

 というのがこの物語のあらすじとなっているのだが、この時点ではまだ亜人の魅力は上手く伝わっていないように思える。さらに物語は現在最終局面にあり、本誌では永井と佐藤の熱い戦いを繰り広げているとということで、今回は(といってもこれが初の紹介記事なのだが)現在「good!アフタヌーン」にて連載中の漫画、亜人について紹介していこうと思う。

※この記事にはネタバレ要素が多分に含まれています。ネタバレ回避したい方は、ブラウザバックを推奨します。 

 

目次

 

1 設定をうまく利用した先が読めない展開‼︎佐藤VS永井フォージビル安全要撃戦

 亜人読者100人に「亜人で1番面白かった話はどこだろうか」と質問すると、まず間違いなく過半数がファージ安全ビル要撃戦と答えるだろう。亜人が評価された要因の大部分といっても過言ではないこの要撃戦の見どころはなんといっても「既存の設定を巧く活かした戦闘」だ。

   この戦いでは亜人の特性である「復活時に離れすぎた体の一部は、新しく生成される」と、「IBMは感情が高まった時を除いて亜人にしか見えない」の2つを応用した戦い方が見どころとなっている。

   中でも1つ目の特性はかなり使い勝手が良く、敵味方側どちらも今後かなり多くの場面で使用されることになるのだが、やはり特に読者に強く印象づけたのは佐藤が作中で初めてその特性を利用したシーンで間違いないだろう。そう、あのフォージ安全ビルに侵入する際に行った手羽先瞬間移動である。復活時に離れすぎた体の一部が再生される時、1番大きな体積を持つ死体を核に再生されるという特性を活かし、切断した手を手羽先パックに詰めてビルに届け、ビル職員が受け取り調理をしだす頃合いを見計らい自ら近所の材木店にある掘削機に飛び込み、木っ端微塵になり死亡。そして復活の際、再生される肉体は材木店に残された肉片よりも体積が大きい死体、つまりフォージ安全ビルにある手からということになる。

 しかし手を起点に肉体が再生されるということは頭がすげ変わっているということになり、それは亜人にとっては死んだも同然ということになる。なので本来なら誰もやろうとは思わず、永井ですら想定はしていても可能性自体は捨てていた。

 こういった登場人物すらの予想を上回る大胆な手段を使ってくるところも、亜人の魅力の一つであることは疑う余地もない。

f:id:koue2525:20201113170310j:image↑掘削機に掛けられる佐藤。これによりビルに届けた手から肉体を再生させることができ、事実上のテレポートを可能にさせる。画像が荒くて申し訳ない…。

 

 

2 大友克洋を連想させる圧倒的な画力

 内容もさることながら、やはり亜人を語る上で無視できないのが、作者である桜井画門先生の圧倒的かつ緻密な表現力であろう。キャラクターの細かい動作やアクションシーンでの迫力は凄まじく、とった写真を上からなぞっているのではないかと思ってしまうような正確で説得力のある絵になっている。

f:id:koue2525:20201113181606j:image↑このシワの描き込み方は尋常ではない。この細かい写実的な描き方が大友克洋を連想させる由縁だろう。

 

 またさらに、亜人は初期の頃と現在とで絵のタッチに大きな変化が起こっていることでも有名だ。下の画像を見ればわかる通り、デフォルメ調のアニメっぽいタッチからグラデーション的に、現在のリアルなタッチへとなっていっているのがよくわかる。ちなみに皆さんはどちらの絵柄が好みだろうか。ちなみに私は現在と初期の中間にあたるリアル寄りの目元が若干デフォルメになっていた頃が好みだ。

f:id:koue2525:20201113193652j:imagef:id:koue2525:20201113193647j:imagef:id:koue2525:20201113193655j:image

↑上から順に初期、中期、後期となっている。こうして再び見返し、絵柄の変化を楽しむのも良い。

 

3 男心をくすぐる迫力のある戦闘シーン

 先程も言った通り、亜人は作者の画力の高さにより戦闘シーンも心揺さぶられる程に迫力のあるものとなっている。それに加えて、格闘シーンなどに見られる走行線を効果的に活用させ、動きの流れを視覚的に訴えていたり、効果音に奥行きを持たせることで平面のコマに立体的な空間を作るといった漫画的な表現も十分に優れていると言える。画力と漫画力、この2つが合わさることのよって、描き込みが多い絵でもわかりやすく迫力のあるシーンを演出することができるのであろう。

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↑走行戦を用いた戦闘シーンの一例。円形に線を引くことで佐藤がショットガンを撃ち込んだ場所、順番を読者にわかりやすく表現している。

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↑こちらは効果音で空間を表現している様子の一例。IBMの肩の上に被せ、頭部の部分は敢えて隠すことで、大きく開けた口が迫ってくる様子を立体的に表現している。

 

  また、亜人では銃器を用いた戦闘が数多く描写される。というのも、作者自身が大変なゲーム好きであることがTwitterから伺え、FPS(操作しているキャラクターの目線で敵プレイヤーと撃ち合う人気のシューティングゲーム)にも精通していることから、おそらく好みがそのまま作品に反映されているのだと思われる。それを裏付けるかのように、作中で登場している銃器はどれも徹底的にリアリティが追求されている。全てが細かく描き込まれており、銃器の付属品含めそのどれもが実在しているものであるところを見るに、かなりソレらに関する知識が豊富であることを物語っている。

 

 

4 魅力のある敵、佐藤さんについて

  何人もいる登場人物のなかで、一際クセのあるキャラといえば先程も挙げた敵サイドの亜人である佐藤であろう。生身でシュレッダーに入り、亜人が恐れる頭のすげ替えも難なくやってのけるそのイカれっぷりは、作中でも特に頭1つ飛び抜けている。戦闘力も凄まじく、その強さは複数人で襲いかかるSATや自衛隊を1人で制圧してしまうほどだ。ここではそんな佐藤を、過去の出来事を掘り下げていきながら紹介していこう。

 

   本名はサミュエル・T・オーウェイン。外見は日本人に見える彼だが、名前でなんとなく察せられる通り、実際は中国人の母とイギリス人の父を持つれっきとしたアメリカ人である。

 幼少期の頃から生き物に対する同情心が無く、小動物を嬲り殺してもなんの罪悪感も感じていないことから、他の人とは違う異常な倫理観を持ち合わせていることが垣間見える。

 年齢を詐称し、16歳の時にアメリ海兵隊に入隊。その後、海兵隊内でも極秘とされていた少数先鋭のエキスパートが揃う部隊(名前が無いことから、海兵隊内では「チーム」と噂されていた)に移され、一定期間そこで活動していた。そしてある日、そのチームに捕虜にされた味方を救出せよとの任務が下るのだが、そこで佐藤はとうとう隠していた本性を表す。

 場所は終戦直後のベトナム。数百人という敵のいるアジトから交戦なしでの隠密行動という、夏休み最終日に漢字の書き取り30ページが終わってないことに気づいてしまうことよりも無茶苦茶大変なことを命じられたのだが、それを見事な連携で難なくこなしてしまうチーム一同。あまりの神業に同行した米兵は「まるで芸術だ」と感動してしまう。そしてすべて順調に事が進み、拘束された味方のいる場所に着き、そのまま帰還しようとした時、サミュエルはあろうことか空に1発銃弾を撃ち込んでしまう。

 銃声を聞きつけたベトナム兵は一斉に音のなる方に駆け寄り、激しい銃撃戦が始まるのだが、そんな生きるか死ぬかの大勝負の中、サミュエルは一度足りとも笑顔を絶やさない。これこそが佐藤の本性なのだ。戦闘を好み、命のやりとりをゲーム感覚で楽しむ。味方を巻き込もうと知ったことでは無い。自分が楽しめればいいのだ。その結果、味方数人が負傷し、サミュエル自身も足一本失う大怪我を負うのだが、捕虜1人の救出には成功した。それ以降、味方を危険に晒す振る舞いをしたことからチームからの除隊を命じられ、ギャングを仕切っているサミュエルの叔父に誘われ日本に渡る。

 その後、あらゆるギャング達を敵に回し続けたサミュエルは、遂に身柄を拘束され数多のギャングの目の前で射殺される。この時初めてサミュエルは自身が亜人であったことを知り、そして現在に至る。

 

 このように、サミュエルはその身勝手さが故に自身が亜人であることを自覚し、大暴れするのだがこの身勝手さが多くの読者を惹きつける魅力の大部分を占めている様に思える。他人の都合を軽視し、自身の思うがままに振る舞うその潔さと我儘な欲望を満たせる程の能力。これらの様なある種子供じみた行動に憧れを抱いてしまう。だから登場人物のなかでも圧倒的な人気を誇り、この作品を支えている程の重要人物になるのだろう。

  

 

さいごに

 いかがだっただろうか。亜人の魅力が少しでも伝わったのなら幸いである。本作はストーリーの内容が若干薄味な分、要所要所の見せ場でしっかり魅せてくるのが特徴なので、気になった方は是非一回は読んでみてほしい。拙い文章で終始高圧的な文体でたいへん申し訳なく思っているので、次回はもっとマイルドな文体で記事を書いていこうと思う。ではまた。

 

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)