小上の漫画紹介ブログ

僕の趣味の1つである漫画をいくつか紹介していくブログです

アニメ化決定‼︎今人気の地獄楽を全巻読んでみた感想【漫画レビュー】

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 みなさんこんにちわ。今回は、アニメ化決定&最終巻が発売された今人気絶頂の話題作、「地獄楽」について私が読んだ感想を混じえ色々と紹介していこうと思う。 ※ネタバレは極力控えています

目次

「極楽浄土でサバイバル」に詰まった魅力溢れる世界観

 地獄楽の一番の魅力はなんといってもこの時代設定と極楽浄土の組み合わせが生み出す独特の世界観だろう。その時代特有の雰囲気と絵のタッチ、そして極楽浄土の程よいカオス感が見事にマッチしており、作品内での不気味な空気感を見事に表現している。

また、島内には人を花にする昆虫が生息しているという設定があり、あえて目立つ脅威(物語が展開していくにつれ明確な敵は登場するが)ではなく、目立たない脅威を配置することで、「どこに潜んでいるかわからない」という恐怖感を与え、作品全体に緊張感を生み出すことに成功している。

漫画において、全体の雰囲気の演出はファンタジーであればあるほど重要になってくるため、その点においては地獄楽は他の漫画の一歩先を行っているような印象を受けた。だからこそ、バトル漫画としては少々ありきたりな設定でも人気が出たのだろう。

独特なタッチで描かれる美麗な絵

 上でも一瞬取り上げたが、地獄楽はとにかく絵も作品の雰囲気を体現するごとく独特で美麗なタッチで描かれており、読者から高い評価を受けている。

漫画の絵は人間でいうところの顔に部分に相当するので、上手い方が良いに越したことはないのだが、この漫画の場合は単に上手いだけではなく、この漫画でしか見られないような個性的な絵柄であるため、そこもまた評価が上がっている要因の1つになっているだろう。 f:id:koue2525:20210212075737j:plain ↑緻密かつ独特なタッチで描かれているのがわかる。絵も人気が出た要因の一つであるということは、これを見ればなんとなく納得できるはずだ。

好み分かれるグロ描写

好みは分かれるとは思うが、このグロ描写も読者を引き込む要素のひとつだろう。グロの描写はその世界で生きるのはどれだけ過酷なのかということをわかりやすく視覚的に表している。血飛沫や人体の断面の他、虫をリアルに描写しているので虫嫌いの人は気の毒に思うが、それ以外の人ならばまだ耐えて見ることができるとは思う。

さいごに

いかがだっただろうか。私の文章力の問題で、魅力を最大限伝えることが出来なかったのが残念だが、少しでもわかってくだされば嬉しい限りだ。他にも色々と記事を書いているので、是非読んでくれたらありがたい。 ↓過去記事 koue2525manga.hatenadiary.jp

【漫画レビュー】チェンソーマンが面白くない3つの理由

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  週間少年ジャンプにて連載され、少し前に完結した今人気絶頂の話題作、チェンソーマンを皆さんはご存知だろうか。少年漫画らしくない展開の連続で有名の本作だが、世間での評判は大変良く、連載期間中ジャンプを引っ張っていた作品の1つであったことは疑いようのない事実であろう。しかし、私としてはこの作品は全くとまでは言わないが面白いとは思えなかった。ということで今回は、なぜ私はチェンソーマンを楽しむことができなかったのか、いくつかの理由をもって説明していこうと思う。

 

目次

 

 

1 ストーリーが淡白

 前回記事を書いた「亜人」や、現在も少年ジャンプで連載中の「呪術廻戦」など、ストーリーがその他のヒット作と比べて多少淡白であったとしても、要所要所の見せ場が魅力的であれば十分面白いと言えるということは私も共感しているのだが、どうにもチェンソーマンだけはこの淡白さが目立ってしょうがないようにも思える。

 

 公安として職務を果たしてはいるがどこか裏がありげなマキマ、謎の多いポチタ、などなど所々に伏線を張っているのだが、そのどれもが大した掘り下げをしていないので、イマイチピンとこないのが原因の1つにあるだろう。

 

 戦闘がメインのバトル漫画であるだけに、非戦闘パートでのキャラ、設定の掘り下げはその後の展開に大きく影響してくるので、そこをもうちょっとガッツリして欲しかったのが内容に関する私の正直な感想と言ったところだろう。

  

 

2 絵が下手になっている  

 ここで「絵が下手」ではなく「絵が下手になっている」と表記しているのには理由がある。作者である藤本タツキ氏の前作、「ファイアパンチ」と比較すると明らかに絵のクオリティが劣化しているのだ。

 

 戦闘パートでもその画力の低さが顕著に現れているのだが、私が1番気になるのは肩周りや股関節などの手足の付け根の部分である。読み直してみればわかると思うのだが、肩と胴体の動きが連動していないので所々体が不自然に見えてしまう。

 

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 私は絵を描くのが好きで、人体に対する知識がそれなりにあるが故の気がかりなのかもしれないが、それでも上記の違和感だけはどうしてもスルーできない。

 漫画において絵は、人間でいうところの顔の部分に該当する。絵が下手でも人気のある漫画もあるにはあるのだが、それらにはそれ相応にストーリーが練られている場合がほとんどである。

 この記事を読んでいる人の中には、「絵柄と漫画のおもしろさは関係がない」と思っている人がいるかもしれない。

 しかし、それは内容が伴っている漫画だけの話であって、並の漫画であれば絵のクオリティも面白さに直結してくる。展開の意外性の他に何か強みがあるとは思えない以上、面白くない理由の1つとして絵の下手さを挙げるのはこの場合、なんの問題も無いだろう。

 

 

3 作者特有の世界観

 これは正直私の好みの要素がかなり影響しているためあまり参考にはならないのだが、チェンソーマンがあまりよく思っていない人にとっては共感してくれると思う。

 最終回になるにつれてが特にひどいが、全体的に藤本タツキワールドが展開されており、受け入れられない人はとことん受け入れられないことだろう(藤本タツキワールドの限界を見てみたい方はファイアパンチを読んでみよう)。

 

 

さいごに

 ここまでチェンソーマンの個人的に面白くないと思う部分を紹介してきたが、私はあくまでチェンソーマンが嫌いではないということを皆さんに理解してほしい。一応現在出ている単行本は全て買っている上、たまに読み返すほどにはこの作品を楽しんでいるつもりだ。ただ、そこまで世間で騒がれるほど面白いか?という疑問を抱いたために今回の記事を書くに至っただけのことである。ここまで読んでくださった方には私のつまらない文句に付き合ってくれたことに感謝を申し上げたい。次回はまたおすすめの漫画を紹介しようと思っているので楽しみにして頂ければ幸いだ。では。

前回の記事↓

 

koue2525manga.hatenadiary.jp

 

 

 

 

徹底解説!亜人の面白さに迫る

 どんな状況でも生き返ることができる絶対に死ぬことのない不死身の存在、亜人

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 ある日、平凡な日常を送る医者希望の高校生、永井圭が帰宅途中に起きたトラック事故をキッカケに、自分は亜人であったことを知ってしまう。亜人は貴重な研究対象のため、日本中から追われる身となった永井は一体どうなってしまうのか...?

 

 というのがこの物語のあらすじとなっているのだが、この時点ではまだ亜人の魅力は上手く伝わっていないように思える。さらに物語は現在最終局面にあり、本誌では永井と佐藤の熱い戦いを繰り広げているとということで、今回は(といってもこれが初の紹介記事なのだが)現在「good!アフタヌーン」にて連載中の漫画、亜人について紹介していこうと思う。

※この記事にはネタバレ要素が多分に含まれています。ネタバレ回避したい方は、ブラウザバックを推奨します。 

 

目次

 

1 設定をうまく利用した先が読めない展開‼︎佐藤VS永井フォージビル安全要撃戦

 亜人読者100人に「亜人で1番面白かった話はどこだろうか」と質問すると、まず間違いなく過半数がファージ安全ビル要撃戦と答えるだろう。亜人が評価された要因の大部分といっても過言ではないこの要撃戦の見どころはなんといっても「既存の設定を巧く活かした戦闘」だ。

   この戦いでは亜人の特性である「復活時に離れすぎた体の一部は、新しく生成される」と、「IBMは感情が高まった時を除いて亜人にしか見えない」の2つを応用した戦い方が見どころとなっている。

   中でも1つ目の特性はかなり使い勝手が良く、敵味方側どちらも今後かなり多くの場面で使用されることになるのだが、やはり特に読者に強く印象づけたのは佐藤が作中で初めてその特性を利用したシーンで間違いないだろう。そう、あのフォージ安全ビルに侵入する際に行った手羽先瞬間移動である。復活時に離れすぎた体の一部が再生される時、1番大きな体積を持つ死体を核に再生されるという特性を活かし、切断した手を手羽先パックに詰めてビルに届け、ビル職員が受け取り調理をしだす頃合いを見計らい自ら近所の材木店にある掘削機に飛び込み、木っ端微塵になり死亡。そして復活の際、再生される肉体は材木店に残された肉片よりも体積が大きい死体、つまりフォージ安全ビルにある手からということになる。

 しかし手を起点に肉体が再生されるということは頭がすげ変わっているということになり、それは亜人にとっては死んだも同然ということになる。なので本来なら誰もやろうとは思わず、永井ですら想定はしていても可能性自体は捨てていた。

 こういった登場人物すらの予想を上回る大胆な手段を使ってくるところも、亜人の魅力の一つであることは疑う余地もない。

f:id:koue2525:20201113170310j:image↑掘削機に掛けられる佐藤。これによりビルに届けた手から肉体を再生させることができ、事実上のテレポートを可能にさせる。画像が荒くて申し訳ない…。

 

 

2 大友克洋を連想させる圧倒的な画力

 内容もさることながら、やはり亜人を語る上で無視できないのが、作者である桜井画門先生の圧倒的かつ緻密な表現力であろう。キャラクターの細かい動作やアクションシーンでの迫力は凄まじく、とった写真を上からなぞっているのではないかと思ってしまうような正確で説得力のある絵になっている。

f:id:koue2525:20201113181606j:image↑このシワの描き込み方は尋常ではない。この細かい写実的な描き方が大友克洋を連想させる由縁だろう。

 

 さらに、亜人は初期の頃と現在とで絵のタッチに大きな変化が起こっていることでも有名だ。下の画像を見ればわかる通り、デフォルメ調のアニメっぽいタッチからグラデーション的に、現在のリアルなタッチへとなっていっているのがよくわかる。ちなみに皆さんはどちらの絵柄が好みだろうか。ちなみに私は現在と初期の中間にあたるリアル寄りの目元が若干デフォルメになっていた頃が好みだ。

f:id:koue2525:20201113193652j:imagef:id:koue2525:20201113193647j:imagef:id:koue2525:20201113193655j:image

↑上から順に初期、中期、後期となっている。こうして再び見返し、絵柄の変化を楽しむのも良い。

 

3 男心をくすぐる迫力のある戦闘シーン

 先程も言った通り、亜人は作者の画力の高さにより戦闘シーンも心揺さぶられる程に迫力のあるものとなっている。それに加えて、格闘シーンなどに見られる走行線を効果的に活用させ、動きの流れを視覚的に訴えていたり、効果音に奥行きを持たせることで平面のコマに立体的な空間を作るといった漫画的な表現も十分に優れていると言える。画力と漫画力、この2つが合わさることのよって、描き込みが多い絵でもわかりやすく迫力のあるシーンを演出することができるのであろう。

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↑走行戦を用いた戦闘シーンの一例。円形に線を引くことで佐藤がショットガンを撃ち込んだ場所、順番を読者にわかりやすく表現している。

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↑こちらは効果音で空間を表現している様子の一例。IBMの肩の上に被せ、頭部の部分は敢えて隠すことで、大きく開けた口が迫ってくる様子を立体的に表現している。

 

  また、亜人では銃器を用いた戦闘が数多く描写される。というのも、作者自身が大変なゲーム好きであることがTwitterから伺え、FPS(操作しているキャラクターの目線で敵プレイヤーと撃ち合う人気のシューティングゲーム)にも精通していることから、おそらく好みがそのまま作品に反映されているのだと思われる。それを裏付けるかのように、作中で登場している銃器はどれも徹底的にリアリティが追求されている。全てが細かく描き込まれており、銃器の付属品含めそのどれもが実在しているものであるところを見るに、かなりソレらに関する知識が豊富であることを物語っている。

 

 

4 魅力のある敵、佐藤さんについて

  何人もいる登場人物のなかで、一際クセのあるキャラといえば先程も挙げた敵サイドの亜人である佐藤であろう。生身でシュレッダーに入り、亜人が恐れる頭のすげ替えも難なくやってのけるそのイカれっぷりは、作中でも特に頭1つ飛び抜けている。戦闘力も凄まじく、その強さは複数人で襲いかかるSATや自衛隊を1人で制圧してしまうほどだ。ここではそんな佐藤を、過去の出来事を掘り下げていきながら紹介していこう。

 

   本名はサミュエル・T・オーウェイン。外見は日本人に見える彼だが、名前でなんとなく察せられる通り、実際は中国人の母とイギリス人の父を持つれっきとしたアメリカ人である。

 幼少期の頃から生き物に対する同情心が無く、小動物を嬲り殺してもなんの罪悪感も感じていないことから、他の人とは違う異常な倫理観を持ち合わせていることが垣間見える。

 年齢を詐称し、16歳の時にアメリ海兵隊に入隊。その後、海兵隊内でも極秘とされていた少数先鋭のエキスパートが揃う部隊(名前が無いことから、海兵隊内では「チーム」と噂されていた)に移され、一定期間そこで活動していた。そしてある日、そのチームに捕虜にされた味方を救出せよとの任務が下るのだが、そこで佐藤はとうとう隠していた本性を表す。

 場所は終戦直後のベトナム。数百人という敵のいるアジトから交戦なしでの隠密行動という、夏休み最終日に漢字の書き取り30ページが終わってないことに気づいてしまうことよりも無茶苦茶大変なことを命じられたのだが、それを見事な連携で難なくこなしてしまうチーム一同。あまりの神業に同行した米兵は「まるで芸術だ」と感動してしまう。そしてすべて順調に事が進み、拘束された味方のいる場所に着き、そのまま帰還しようとした時、サミュエルはあろうことか空に1発銃弾を撃ち込んでしまう。

 銃声を聞きつけたベトナム兵は一斉に音のなる方に駆け寄り、激しい銃撃戦が始まるのだが、そんな生きるか死ぬかの大勝負の中、サミュエルは一度足りとも笑顔を絶やさない。これこそが佐藤の本性なのだ。戦闘を好み、命のやりとりをゲーム感覚で楽しむ。味方を巻き込もうと知ったことでは無い。自分が楽しめればいいのだ。その結果、味方数人が負傷し、サミュエル自身も足一本失う大怪我を負うのだが、捕虜1人の救出には成功した。それ以降、味方を危険に晒す振る舞いをしたことからチームからの除隊を命じられ、ギャングを仕切っているサミュエルの叔父に誘われ日本に渡る。

 その後、あらゆるギャング達を敵に回し続けたサミュエルは、遂に身柄を拘束され数多のギャングの目の前で射殺される。この時初めてサミュエルは自身が亜人であったことを知り、そして現在に至る。

 

 このように、サミュエルはその身勝手さが故に自身が亜人であることを自覚し、大暴れするのだがこの身勝手さが多くの読者を惹きつける魅力の大部分を占めている様に思える。他人の都合を軽視し、自身の思うがままに振る舞うその潔さと我儘な欲望を満たせる程の能力。これらの様なある種子供じみた行動に憧れを抱いてしまう。だから登場人物のなかでも圧倒的な人気を誇り、この作品を支えている程の重要人物になるのだろう。

  

 

さいごに

 いかがだっただろうか。亜人の魅力が少しでも伝わったのなら幸いである。本作はストーリーの内容が若干薄味な分、要所要所の見せ場でしっかり魅せてくるのが特徴なので、気になった方は是非一回は読んでみてほしい。拙い文章で終始高圧的な文体でたいへん申し訳なく思っているので、次回はもっとマイルドな文体で記事を書いていこうと思う。ではまた。

 

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)